佐藤順一監督講演会に行ってきた2

さくさくっと昨日の続きですよ。

07.原作がある作品のアレンジ

ARIAではものの見事なアレンジにより作品の価値を何倍にも高めた監督ですが、基本は
「原作者の方針に合わせる」
んだそうです。
第1に原作者がいて、その次に監督がいるというスタンス。
ケロロ軍曹」においては、監督としては冬樹のスタンスを若干変えたかったそうなのです。
というのも、最初アニメ版ケロロ軍曹における主人公は日向冬樹だったのです。
前述した「キャラクター設定」において冬樹は「優等生」過ぎた為、色々と考えたそうです。
しかし原作者の吉崎観音さんから「そのままにしてほしい」という意向が出されてそのままに。
そこで「主人公」が冬樹ケロロに変化。
ケロロを中心に軸が決まると他のキャラクター達の立ち位置もカッチリ決まり、今の構成になったのだとか。
まぁ元々冬樹は準主人公的存在でしたからね。


原作者から大事な子供(作品)をお預かりして、立派に育てます!
といった感じですか。
だからこそまずは「原作者ありき」なんですね。

08.監督の家族がモデル

実は「おジャ魔女どれみ」における家族の描写は監督の家族をモデルにしているのだとか。
他にも実際にあったエピソードをモチーフにして作った話もあり、「新世紀エヴァンゲリオン*1」では
ミサトがシンジに怒るシーン
実際に家庭であったやりとりをモチーフにしているんだそうです。
…凄い話ですね(;´∀`)


監督が絵コンテに参加していたのが第四話・伍話・拾伍話・弐拾壱話。
推察するに、恐らく第四話「雨、逃げ出した後」にあるこのセリフの事でしょうかね?

葛城ミサト :どうして私の命令を無視したの?
碇シンジ  :ごめんなさい。
葛城ミサト :あなたの作戦責任者は私でしょ?あなたは私の命令に従う義務があるの。分かるわね?
碇シンジ  :はい。
葛城ミサト :今後、こういうことの無いように。
碇シンジ  :はい。
葛城ミサト :あんた、本当に分かってんでしょうね?
碇シンジ  :はい。
葛城ミサト :あんたねえ、なんでも適当にはいはい言ってりゃいいってもんじゃないわよ!?
碇シンジ  :分かってますよ、ちゃんと。…もう良いじゃないですか、勝ったんだから。
葛城ミサト :そうやって表面だけ人に合わせてたら楽でしょうけどねえ、そんな気持ちでEVAに乗ってたら、死ぬわよ!
碇シンジ  :良いですよ、そんなの。
葛城ミサト :いい覚悟だわ、と言いたいところだけど、褒められると思ったら大間違いよ、碇シンジ君。
碇シンジ  :褒められるも何も、どうせ僕しか乗れないんでしょ。乗りますよ。

…妙にリアルだw

09.「すごい技」開発の裏側

カレイドスター」は監督自身によるオリジナル原作作品。
放映当初は色々とゴタゴタがあったものの、徐々に人気を得て遂に2期シリーズ「新たなる翼」編が始まることに。
しかし新しいシリーズを始めるに当たって大きな問題が浮かび上がるのです。
それは
幻の大技」を超える技の必要性
この点でかなり苦労されたらしく、新しい監督として平池芳正さんを助っ人に呼ぶことに。
色々と考えていたネタも余裕が無く、オミットされたのだとか。
恋愛に関する話もあったそうですが、どちらかというとギャグに走る傾向*2にあったのだとか。
監督的には素直に恋愛を描きたくないようですw

10.上手く行きそうにない話ばっかりオファーが来る

監督にとって常に悩み所なのがコレだそうですw
「ARIA」にしたって「しゅごキャラ!」にしたって
「どうすりゃいいんだこれ!!」
といった感じの作品ばっかり監督の下には依頼が来るのだそうで。
それでもやり遂げてしまう所が佐藤監督の素晴らしい所なんですがw


特に
ARIAは冒険だった」
そうです。
確かにARIAは成功するかどうか読みにくい作品だったでしょうね……(;´∀`)
いまでこそ人気のある作品になりましたが、ARIA独特の世界観が受け入れられるかどうかは判断に悩む所だったと思われます。





さて今日はここまで。
まだまだネタが残ってますので頑張りますよ。

*1:佐藤監督はエヴァに「甚目喜一(はだめきいち)」名義で絵コンテに参加している

*2:ケンがそらに対して抱く恋愛感情が成就しない状況を周囲がもてあそぶ、というおきまりパターン